
新しい取り組み・ペイフォワード
「苦しい、辛い、大変」
「やり直したい」
今の猫との生活が大変で、苦しくて、
「なんとかしたい」
そう思いながらも、無理だと諦めて、
結局そこから抜け出せず、猫をたくさん抱えて悩んでいる人がたくさんいます。
『一歩前に踏み出すだけ』
そう言う人がいるかもしれないけれど、
やり遂げられた人間から簡単なことでも、
苦しくて辛い状況の人間からしたら、その一歩は大きな一歩で、なかなか踏み出せないものなのです。
ただ・・・
「どうせ無理だ」
そう諦めてしまったら、そのまま変わることはできず、終わってしまうのです。

そんな人たちが
「諦めずに前に進めるように、何かできることはないか?」
私たちもいつもいつも考えています。
とにかくまずは多頭飼育崩壊から脱するために、
『避妊去勢手術』をすること。
ただ・・・その一方で、
単に無償で(安価で)避妊去勢手術をすることが本当に意味あることなのだろうか?
そういつも葛藤してきました。
なぜそう思うのか・・・
それは、
無償で(安価)避妊去勢手術を受けるとなれば、
費用面の心配がなくなり、すぐに避妊去勢手術を受けることできますが、
無償(安価)になっている理由までを理解していない人が意外に多いのです。
誰かが寄付してくれたり、
誰かがサポートしてくれたり、
誰かの支えがあって、無償(安価)になっていることまで理解せず、
ただ単に
「安くで済んだからよかった」
だけで過ごしている人が多いのです。
そして、そういう人たちは、
「安くしてくれるよ」
とだけ次の人へ繋いでいってしまうのです。
費用だけが一人歩きすることになり、
誰かへの恩というのを忘れてしまい、
恩を心に留めていないが故に、
もう一度同じ過ちを犯す傾向があるのです。

そこで『ペイフォワード』という新しい取り組みを取り入れることにしました。
①避妊手術や去勢手術を受けたり、病気や怪我を治すための治療を受けたりするための費用として、誰かのために『チケット』を購入
②必要とする人がチケットを使い、施しを受ける
③チケットを使用した人は、他の誰かに思いやりを送るというシステム。
普通は恩をもらい、もらった人に返す
『恩返し(ペイバック)』
というものが主流。
これだと、当事者間でのやりとりとなり、
両者だけで完結してしまいます。
でも・・・
この『ペイフォワード』は、恩をもらった人が次の人へ恩を渡す方法で、
外へ外へ思いやりを広げることができます。
そして、
もしもすぐに恩を渡すことができなくても、
「今だ!」というシーンや時間に行動してもらうこともできます。

例えば・・・
『多頭飼育崩壊』から脱するために、
このシステムの『チケット』を使って、
猫たちに避妊去勢手術を受けさせてあげます。
その時は、猫たちを養っていくのにいっぱいいっぱいだったとしても、
心に余裕ができた時、
困っている誰かのために行動してくれたならいいのです。
どんなに些細なことでも構いません。
心だけでなく、金銭的にも余裕ができた時、
「自分と同じように苦しんでいる人や猫が救われるように」
と『チケット』を購入してくださってもいいのです。
そうすることで、また救われる人や猫ができるのです。

「そんなにこの世は優しいのだろうか?」
そう思う人がいるかもしれない。
でも、
そうだと思って諦めてしまう前に、一度試してみたいのです。
もしかしたら、この世はそんなに冷たくないかもしれない。
「ペイフォワードをみんなが実行しなければ?」
そう言われる方がいらっしゃるかもしれない。
もしも誰もが次に恩をつなげることがなければ、
私たちのこの取り組みは真っ白となります。
もしかしたら、私たちのこの取り組みは全く失敗に終わるかもしれないけれど、
『やらずにいるより、やってみよう!』
そう思うのです。
もしも優しさであふれる世の中になれば、
もっともっと多くの猫たち、多くの人たちが幸せになっていくと思うから。

最後にもうひとつ。
よく
「手術をしてくれたから・・・」
「いつも助けられているから」
と
私たちへ『恩返し』として、お菓子や差し入れをいただくことがあります。
私たちからしたら、
「私たちに返さないでいいから、そのお金は猫たちのために使って!」
と思ってしまうのです。
今までもそうお伝えしてきましたが、
これからは、TNRや保護活動に必要なもの以外に関しては、
このペイフォワードを活用していただくようにお伝えさせていただきたいと思っています。
なぜなら・・・
私たち自身が
『恩返し(ペイバック)』ではなく、
『ペイフォワード(恩送り)』を願っているから。