小さなはちのこと
はちと初めてあったとき・・・
足は全く動かず、投げ出して座っていて、
持ち上げても後ろ足はぷらーんとぶら下がったまま
ご飯を食べるときも完全に足は投げ出した状態でした。
後ろ足に刺激を加えても、全く無反応。
かろうじて右側がすこーしだけ反応する程度でした。
治療をしながら、リハビリの毎日。
ツボごとに刺激したり、
正しい体の位置を再度インプットするようにしたり、
筋肉を取り戻すため屈伸運動をしたり、こまめにリハビリ。
長い時間すると、
『筋肉痛』が起きてしまうこと
はちがリハビリ嫌いになってしまうこともあるので、
ちょこちょこしていました。
かごねこにやってきて3日目には、
全く無反応だった後ろ足は、
反応を示すようになり、
刺激を加えると引っ込めようと動かすようになりました。
引っ込めようとする力に合わせて
引っ張り合いっこのリハビリ開始。
投げ出していた後ろ足は
お座りの形をインプット。
ご飯を食べる時も、こまめに足の位置を調整。
だんだん後ろ足の足先に力が入り始めました。
意地悪だけれど、
ご飯を食べてるときに、
少しずつご飯のお皿の位置を高く移動したりもしました。
ご飯のお皿を高く移動することで
後ろ重心になるので、
踏ん張りが必要になり、足先に負荷が少しかかるのです。
それだけでもリハビリ。
ほんのちょっとの変化ですら
不自由な体にとっては、大きな負担。
無理せずリハビリしていきました。
たとえ麻痺があったとしても、
ケアしながら二人三脚で暮らしていけるし、
幸せに楽しく長生きすることもできます。
でも…
もしリハビリを頑張って、麻痺が改善したら、どうでしょう??
できることが増えることはお互い嬉しいことですよね。
はちの成長を発信することで、
同じような状態の子たちの未来が開けば…
「この子は麻痺だから仕方ないね」
と初めから可能性を消すのではなく
「トライしてみる」ことも考えてもらえるきっかけになれば…
そう思い、毎日毎日はちの朝活や成長をお伝えしていっていました。
そうしているうちに、
『はちの朝活や成長を見ることで元気や勇気をもらっている!』
そんな人がたくさんになったのです。
同時に、同じように下半身付随がある子を飼っている方に、
『リハビリって大事なんだ!』
『もしかしたら、うちの子もできるようになるかもしれない!』
そう勇気や探究心を与えるきっかけにもなったのです。
できることが増えるたびに、私たちは喜び、
はちは「ドヤッ!エッヘン!」という顔をしてみせたのですが、
胸を張って見上げる姿がとってもかわいくてかわいくて…
とてもとても濃厚な毎日を過ごしていました。
生きてきたからには、猫らしく満喫してほしい…
ただただそう願っていました。
もしも歩けなくても、
自分の意思で少しでも生活できるように…
1つでもできることが増えるように…
そう願っていました。
ところが・・・
小さなはちの体の中で、骨髄が少しずつ病気に蝕まれていて、
小さな命は消えてしまいました。
お外の猫たちは過酷です。
近親交配などで奇形や突然変異をもって生まれる子もいます。
生まれてきたその瞬間から、他の子よりも大変な思いをして暮らしていくのです。
それが当たり前なのだと思って…
人の目に触れず、自然と命を落とすこともあるでしょう。
人の目に触れたとしても、見て見ぬふりをされ、命を落とすこともあるでしょう。
保護されても、治療もされず、収容されただけで、命を落とすこともあるでしょう。
もしもたくさんの命が生まれなければ、
一人一人に目が届き、何かあっても、すぐに対応できるかもしれません。
そもそも、奇形や突然変異をもった子たちが生まれることは防げるかもしれません。
保護する命が多すぎて、
どこの保護団体も、どの保護活動してる人も、
全部を請け負うことができず、
ただただ目の前のことを一つずつ解決できずにいます。
TNRが浸透して、生まれる命がセーブできれば、
保護活動はもっと丁寧に十分に行われていくのだと思っています。
小さな体で、はちが私たちに教えてくれた1つ1つのことを、
どうか「かわいそう」という言葉だけで片付けず、
どうすれば減っていくのか?何かできることはないのか?
考えてもらえたら…
現状だけを見て「かわいそう」というのではなく、
諦めなければ未来は開ける
頑張ればできることは必ず増えていく
そう信じて実行してもらえたら…
かごねこにやってきた子たち1人1人
どの子もたくさん手がかかっていて、とても濃厚な時間を共有しています。
だから、お空に旅立つ度に心が苦しくなります。
決して慣れてくことはありません。
いつも走馬灯のように、来た日からのことが巡り、
「ここにきて少しでも幸せだったと思えたかな…」
「助けられなくてごめんね。」
といつもいつも思います。
その度に、
「次は今よりももっとより良く」
「次は一分一秒でも長く」
助けられるように過ごしています。
どんなに辛いことがあっても、
また次の瞬間には、助けなければならない命と向き合わざるを得ません。
どんなに涙を流しても、
また次の命のために、前向きに向き合わなければなりません。
はちをお空に見送った後も、またいつもの毎日は訪れています。
たくさんの猫たちに出会い、
TNRのお手伝いをし、
たくさんの悲惨な状態の猫たちの命を託され、
懸命に助けようと頑張り、
毎日毎日猫たちとともに頑張って過ごしています。
今できることをすることこそが、はちへの恩返しであり、はちとの約束だと思うから。
どうかみなさんも小さなはちのことを忘れることなく、
はちのような子達が一人でも減るよう、
できることをできる限り行動してみてください。