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全く歩くこともできなかった茶白くん

交通事故にあって、生後2ヶ月くらいのときに、動物愛護管理センターへ収容されていた茶白くん。

頭は傾き、まともに起き上がることもできず、転がっては起きて・・・
歩くこともできず、水浸しでびしょ濡れになっていました。

ゲージの床の間に足が挟まっても、自力で足を戻すこともできず、
器に入ったご飯を食べたくても食べることもできず、
猫らしく座ることも寝ることもできず、
痩せ細った体と顔で
ただただニャーニャー鳴いて、前足をグーパーグーパーして甘えていました。

必死にゲージの中から手を出して鳴く姿を見て、放っておくこともできず、レスキューして帰ってきたのがはじまりでした。

助けられるかもわからない・・・
それでもせめて数日だけでも、ご飯をたくさん食べさせてあげて、温もりを感じさせてあげたい・・・

そんな思いでした。

治療の効果や看病、リハビリの甲斐あって、少しずつ少しずつよくなっていった茶白くん。

全く起き上がることも歩くこともできなかったのに、
毎日少しずつ立ち上がったり歩いたりできるようになりました。

頭が傾いていて、ご飯を自力で食べることもできなかったので、
強制給餌をしたり、
少し自力で食べられるようになったらリハビリを兼ねて食べる練習を繰り返しました。

丸くなって寝たり、
自分で毛繕いをしようとしてみたり、
おもちゃを追っかけてみたり、
他の猫ちゃんとおっかけっこをしてみたり・・・

頭が傾き、顔は90度以上ひっくりかえった状態で、猫らしく生活できなかった茶白くんは、奇跡的に命を取り止め、症状も改善していきました。

少しずつ良くなってはいましたが、茶白くんは様々な問題を抱えていました。

交通事故で頭を打ったことで、耳の中は出血と膿だらけ。
そこからの炎症により、脳障害や神経麻痺も起きていました。

口を上手に開けることもできず、目を自分の意思で開け閉めすることもできずにいました。
自分のくちびるを噛んでも、麻痺をしているから痛みを感じることもなく、血を流しながらご飯を食べ、目を閉じることがうまくできないことで目に傷がついてしまいました。

皮膚と骨だけのガリガリの状態だったため、栄養失調により、貧血も起きていました。

びしょ濡れになっていたことで皮膚炎を起こし、毛がないところもありました。

『諦めない!!』
『とにかく、ひとつずつ解決していくしかない!』

コツコツとサポートしながらの二人三脚がはじまりました。

生後2ヶ月の小さな体で、たくさんの問題を抱えているのに、茶白くんはとっても前向きでした。

とにかく明るく前向き。
めげることなく、元気いっぱい。

最初は頭の傾きもひどく、天地がひっくり返ってるような感じで動き回っていたので、他の先住猫たちが怖がっていました。
しばらくすると、茶白くんの状況を理解したようで、一斉にみんながお世話してくれるようになりました。

『みんな一緒』平等に、そして、不自由なことがあるならサポートしてあげる…
その優しい気遣いに、見ているこちらの心も癒されました。

そして・・・
茶白くん…
こんな辛い状況にしたのは私たち人間なのに、それにもかかわらず、恨むことなく、人間がとっても大好きなのです。

接している私たちが、逆にたくさんの愛情や勇気、元気をもらいました。

ガリガリに痩せ細って、毛もそぞろで、貧血で真っ白だった茶白くん。

保護されて半年以上経った今・・・すっかりふっくらなりました。

まだまだ麻痺による目の治療は続いていますが、命を取り留め、猫らしく生活できるようになったこと、本当によかったと思っています。

もしも動物愛護管理センターに収容されていなければ、ひっそりと道端で命を落としていたことでしょう。

もしもあの日、動物愛護管理センターへ足を運んでいなければ、レスキューすることもなく、そのまま命を落としていたことでしょう。

何十頭ものミルクボランティアや子猫のお世話に追われながらも、看病をし、治療をし、リハビリをしたから、今があると思っています。

何か一つ欠けただけでも、茶白くんは生きられなかったでしょう。

『諦めたらそれでおしまい』
『とにかくひとつずつコツコツ乗り越えていこう』

諦めずに奇跡を信じて頑張ったからこそ、今があると思っています。

一人では乗り越えられなかった山も、人と一緒だったから乗り越えれたのだと思っています。

毎日どこかでこの子のような状態の子がいて、
救われることもあれば、
誰にも出会うことなく、ひっそりと命を落とす子もいる。

たとえ不自由なことがあったとしても、
落ち込むことなく、自分のやりたいことをただただ前向きにやり、形にする姿。

命の大切さ
命の強さ

今改めて考えていただけると嬉しいです。

私たちは思います。

『出会ったのには必ず理由がある』

茶白くんの前向きな姿、奇跡的な回復に、私たちは改めていろんなことを考えさせられました。
そして、茶白くんのことをInstagramで見守ってくださった方々、知ってくださり応援してくださった方々へも、何か影響を与えてくれたと思っています。

この小さな小さな命を繋ぐことで、救われる命があること。
ダメかもしれないという状況でも、奇跡がおこりうること。

それも含めて、小さな命に手を差し伸べることについて改めて考えてもらうきっかけになったのではと思っています。

茶白くんの名前は、『喜八(きはち)』

とても大変な状態で保護された子だったから、
これから先はずーっといいことがありますように・・・という思いから、
『喜びが末広がり(無限大)にありますように』と付けられました。

喜八は、自分だけでなく、周りの人、動物たちにも、喜びを与えてくれる存在となりました。

皆さんの記憶の片隅に、小さな体でいっぱい頑張って生き伸び、元気いっぱいな子に育った『喜八』のことが残ると嬉しいです。

「見てごらん!僕らの未来は明るいよ!!」